ハタヨガ

「ハタヨガ」は、肉体的なアーサナ(ポーズ)と呼吸法に重点を置いたヨガの流派です。
ポーズをとりながら正しい呼吸法を行うことで、心をリラックスさせ、精神面のバランスをコントロールして整えることを目的としています。
現代に受け継がれているヨガの流派は、10世紀から13世紀に起源を持つとされるハタヨガから派生しているものがほとんどです。

ハタヨガの特徴

ハタヨガは、サンスクリット語で「ハ(ha)=太陽」と「タ(tha)=月」、そして「ヨガ(=結ぶ)」という語源から成り立ちます。
太陽と月、陽と陰、精神性と生命力のように、対として存在するもの同士を結び付け、調和させることを目的とします。
この陰と陽が織り成す「体内エネルギー」を重視することにおいて、ハタヨガにはヨガ全般に通じる部分があります。調和は、力強い動きの「ハ」と、静穏の「タ」によってもたらされると考えられ、心と体の原動力である「気」を重視しながら「ハ=吸う息」と、「タ=吐く息」の2つをコントロールすることによって、対になる存在を調和させることができるというものです。
また、ハタヨガはポーズや呼吸法が心や体を動かす原動力であるという考えのもとに誕生したヨガであり、ポーズと呼吸法に重点を置くことで、集中力や自己の内面への意識を高めることができると考えられています。

ハタヨガの効果とメリット

ハタヨガは、基本となるポーズと呼吸法を通して、精神の安定や集中力の向上、自己の内面への意識を高めることができます。そして、精神面の安定をもたらすために、深い腹式呼吸法を推奨しています。腹式呼吸には、息を吐く際に副交感神経が刺激されるという効果がありますので、これによりリラックス効果がもたらされるのです。
ハタヨガは、自分の体と心に向き合い、ストレスによる自律神経の乱れやバランスを整えることを重視します。そのため、精神的なストレスの緩和やうつ病にも効果があるといわれています。また、ポーズは体全体を使い、日常生活であまり使わない筋肉も活用するため、体の柔軟性向上も期待できます。
ハタヨガのポーズにおける基本として、バンダ(=締め付け)という技法があります。
バンダは、喉・腹部・肛門などの引き締めを行うものですが、中でもウディヤーナ(ウディヤナ・バンダ)という技法は、腹部(=ウディヤナ)を引き締めるものです。交感神経を正常に整え、姿勢の改善によるスタイルアップやダイエット効果など、身体的な変化にも効果が期待できます。
このように、ハタヨガのポーズと呼吸法が心身のバランスを整え、健康的な肉体づくりに役立つでしょう。

陰ヨガとは

「陰ヨガ」は、人々の体と精神の深部に働きかけるヨガです。
陰陽のバランスを調整し、リラックス効果が高いため、筋力強化や美容目的など、運動量の多い「陽」のヨガを行っている方にもおすすめです。

陰ヨガの特徴

陰ヨガの特徴は、ひとつのポーズを3分から5分、深い呼吸とともにゆっくりと保持することです。
深い呼吸とポージングは、体と心をリラックスさせる働きがあり、セラピー要素の強いヨガとされています。運動量が多く筋力アップの効果が見込める「陽ヨガ」(アシュタンガヨガやパワーヨガ)と組み合わせて、筋肉や関節の柔軟性を高める効果も期待できる陰ヨガを取り入れている方も多いようです。

陰ヨガのルーツは、中国の思想である「陰陽五行思想」にあります。
陰陽五行思想は、自然と調和した生活が心身の健康をもたらすとする考え方です。忙しくアクティブな生活を続けていると、「陽」のエネルギーが強くなり過ぎ、バランスが悪い状態になりがちです。陰ヨガは、陽に傾いている心身のバランスを「陰」のエネルギーで整え、リラックス状態へ導くことができるとされます。

陰ヨガの効果とメリット

陰ヨガがもたらす効果は、心身のバランスです。
陰陽五行思想に基づいて構成されている陰ヨガを行うことで、普段の生活で欠けてしまいがちな陰のエネルギーを高め、落ち着きを取り戻すことができます。

1990年代に流行した「陽ヨガ」は、美容や体力、筋力をつけることを目的としたポーズが多く、アクティブな要素を持ったヨガです。
そのため、心身のエネルギーを高め、運動量が増えて活動的になります。しかし、このような「陽」のエネルギーが高い状態が続くと、刺激に対して敏感になり、ストレスや疲労を感じやすくなってしまいます。
そこで、陰ヨガを取り入れることにより、疲れて凝り固まった精神をリラックスさせ、同時に体の組織も柔軟にしていくことができるのです。

心身を緩めることを目的としている陰ヨガは、ポーズを保持するあいだは瞑想状態になりやすいことも特徴です。頭を空っぽにして呼吸や体に集中することで、ストレスでざわついた心に落ち着きが生まれ、高いリラックス効果が期待できます。

深い呼吸で筋肉の力を抜いていくことで、靭帯や腱、筋肉の表面を覆う「筋膜」など、関節周りの柔軟性が高まり、関節の可動域を広げます。関節の動きが良くなると、ほかの運動でも体の動きがスムーズになります。また、関節の柔軟性が高まることで、血液やリンパの流れが良くなり、美容にも良い影響をもたらすことが期待できます。

ダイエットヨガで得られる効果

ダイエットヨガとは -ヨガ1時間の消費カロリーは約200kcal-

運動による消費カロリーは年齢や体型などによっても異なりますが、体重50kgの20代女性がヨガを1時間行った場合の消費カロリーは約200kcalとされています。そのため、ご飯1杯分(約240kcal)にも満たないカロリーしか消費することができません。
ヨガがダイエットに効果的といわれる理由は、消費するカロリーではなく体質の改善に効果があるという理由があります。
そこで、女性なら誰でも気になるヨガのダイエット効果についてご紹介します。

ダイエットヨガで得られる効果

消費カロリーの少ないヨガが、ダイエットに効果的な理由は、痩せやすい体が作られることにあります。代謝や筋力アップなど、ダイエット効果をもたらす3つの理由をご紹介します。

1. 脂肪燃焼

筋肉には、ゆっくりとした動作を行う際に使われる「遅筋」と、走ったり重い物を持ち上げたりといった瞬発的な動作をする際に使われる「速筋」の2種類があります。ヨガのようにゆったりとした動作を行う際には、おもに脂肪をエネルギー源とする遅筋が使われます。そのため、遅筋を鍛えることで脂肪を燃焼しやすい体を作ることができます。
また、有酸素運動といえば、ウォーキングやジョギングが代表的ですが、腹式呼吸でたっぷりと体に酸素を取り込みながら行うヨガも有酸素運動のひとつです。有酸素運動には脂肪の燃焼効果があるため、ダイエット効果も期待できます。

2. 基礎代謝アップ

ヨガでは、筋トレのように重いバーベルを上げることもなければ、器具を使って体に強い負荷をかけることもありません。しかし、ヨガのポーズをとることで、普段は使うことのないインナーマッスルが鍛えられ、筋肉が活性化されます。そのため、基礎代謝がアップし、痩せやすく太りにくい体を手に入れることができます。

3. むくみ改善

ヨガでは、ポーズをとるときに正しい姿勢をキープする必要があります。正しい姿勢が身に付くことで、骨盤や背骨の歪みが矯正され、冷えやむくみの改善効果が期待できます。下半身太りは骨盤の歪みが原因になっていることもあるため、歪みを矯正することで脂肪の燃焼促進につながるといわれています。